書籍の自炊で挫折しないための、本当の自炊のコツを教えます

最近、さまざまなライフハック関係のサイトやブログで書籍を自分で裁断し、電子化する作業「自炊」に関する情報が得られます。たしかに自炊が自分の蔵書に行き届いてくると、本当に素晴らしい読書体験ができます。ただ、そのような取り上げ方は自炊の光の面しかみせないものだと個人的には思います。


 自炊にはある程度の労力が必要です。特に手持ちの本を全て電子化して本の山とおさらばしたい!!と夢想するような沢山の本をお持ちの方ほど注意が必要です。山積みの本を自炊するのはあなたです。その点を見誤っていると、スキャナを買った瞬間の熱意も一度のスキャンで一気にしぼむことになりかねません。


きちんと自炊の闇の面も弁えましょう。そうしないと大枚をはたいて買ったドキュメントスキャナもタンスの肥やしになること請け合いです。下の2ちゃんねるでのコメントを見てください。実際には自炊の現実は厳しいのです。


>765 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2009/05/01(金) 01:57:07 id:xO2jEPiq
> 部屋の片づけとしてのスキャンはかなーり大変だと思う。

> 「片づいた!」という報告がとても少ないことに気づこうw
> もう何年か前にS500買って割とマメに作業してるつもりだけど
> 購入直後のテンションが消えると
> 部屋の本を増やさないというのが精一杯になるw


 今や本当に数多くのサイトでスキャン作業のコツを手取り足取り教えてくれています。そういう記事も素晴らしいですが鵜呑みにしてはいけません。一度挫折しかけた人間からみると、自炊の闇の面(大変さ)と向き合うことの方が大事でした。以下では自分の挫折しかけた経験から得た、本当の自炊のポイントを教えたいと思います。自炊を対価に見合うものに変えなくてはいけません。


■コツ①:大事な本から電子化する
 自分がバイブルに思っているような大事な本は、この本を電子化しちゃっても大丈夫かな?などと後回しにしがちです。その間違った思い込みを打破することが、自炊の効果を一番高めることにつながります。


 つまり、価値が一番高い本から自炊を行っていくことで、あなたが必要とする本が次々と電子データとなり、一番大事な本がどこでも読むことができるようになります。どこでも調べられるようになります。キーワード検索もできるようになります。自炊は捨てて良いような本から行うのではなく、もっとも実用性に高い本からやっていくべきです。
 
■コツ②:要らない本は捨てる

 もし、あなたが読んでいない本を必死に電子化して処分したとして、果たして、そんな本を後で読むことがあるでしょうか。だったら自炊するだけ無駄だったのです。読みもしない本に対する正しい答えは電子化でなく捨てることです。(エコな時代ですから、捨てる=古書店などで売るなりしましょうね)


■コツ③:自炊時間を無駄にしない術を身につける

3-1.失敗に気づくのを早める
50ページ、60ページといった一定のページ数で区切ってスキャンするといいと思います。そうすることでスキャン結果のページ数を見るだけで重送があったか、落丁がないかが直ぐにわかります。


3-2.勿体無いと思わない
本の裁断を勿体無いと思うと、本の背のギリギリで裁断したくなります。そうすると実は切れていないページが混ざってしまいます。裁断できていないページはぐしゃぐしゃに折れ曲がり、スキャナに詰まってしまいます。スキャンもやり直しになります。そこで失われるのは、あなたの時間です。


 勿体無いのは、ギリギリの線で裁断して、余白を一ピクセルもらさないことではありません。あなたの時間です。本に対して勿体無いと感じる心が出たら、その心に打ち勝つようにしましょう。


3-3.マルチタスクしてスキャン時間を活用する
 落丁させないコツがつかめると、スキャンをさせている間に簡単な作業ができます。ちょっとした時間でできる簡単な作業を見つけましょう。スキャンを見つめ続けるより、あなたの時間はより価値の高い時間になるはずです。


3-4.OCRは後でいい
 スキャンのスピードをあげるため、スキャンのみに専念しましょう。OCR作業は寝ている間にまとめてすれば十分です。


 ささやかではありますが、以上が自炊を行うポイントだと思います。自炊が成功するかどうかは、ひたすらスキャンの作業を猿のようにこなせるかどうかではなく、戦略的な自炊ができるかだと思います。あなたの自炊ライフが成功されますように心からお祈り申し上げます。