サムソンはAndroidを捨てる

サムソンのGalaxy関連の出費が止まらないようだ。予想された結末ではあるが、張り子の虎であったサムソンの崩壊に向けた歩みが着実に進んでいる。



まずはマイクロソフトに対して。この件はサムソンの支払いが確定した。



Microsoft、「Android」端末対象にSamsungとも特許ライセンス契約

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20110929/369625/?ST=smartphone&r4


記事によるとサムソンはライセンス料を支払うとともに、Windows Phoneの開発やマーケティングに協力する。サムソンのGalaxy一台あたりの利益は30$でうち15$をマイクロソフトのライセンス料にとられるという噂もある。つまり、サムソンはマイクロソフトに相当なライセンス金額を取られるだけでなく、Windows Phoneを相当量市場に投入することを約束させられたと見るのが妥当だろう。



一方でアップルに対して。アップルに対しては散々に強気なコメントを出していたし、世界各地で訴訟を起こし、戦線を拡大し続けてきた。だが、結局は観念したようである。下記の記事でサムソンが「支払い」側になることが明確になったと言えるだろう。



サムスン電子、アップルとの紛争回避に向けて取引提案
http://jp.wsj.com/Business-Companies/node_317201


これだけ見ると、なぜ支払い側と決定するのかと疑問かもしれない。だが、サムソンは支払い側、それも多額な支払いは避けられないと見て妥当と思う。その要因は2点ある。


  • 要因1:サムソンが最初の支払い交渉を破綻させたこと
  • 要因2:アップルはOS屋ではないこと



まず要因1について。オーストラリアの法廷で、アップル側がサムソンに対して、まずは衝突回避に動いたことが明らかになった。



■「S・ジョブズ氏自らがサムスンとの衝突回避に動いていた」 - 豪法廷で明らかに
http://wirelesswire.jp/Watching_World/201109300916.html


衝突回避とはあるが実際はアップルはまずはライセンス料を支払いをサムソンに求めたと推察される。それに対しサムソンは話を蹴って、現在の訴訟に至った。どうやらそれが事実である。であれば、アップルはこのときサムソンが呑むことができなかった当初のライセンス料程度では許すことはできないだろう。おそらくライセンス料は跳ね上がるはずだ。



次に要因2である。マイクロソフトでさえGalaxyで得られる利益のうちのかなりの高額なライセンス料を持っていくようである。しかし、それ以上にマイクロソフトにとっておいしいのはサムソンにWindows Phoneを使わせる確約をさせたことだ。マイクロソフトは市場でのプレゼンスが増すと同時に、Windows Phoneの販売利益を得たのである。ところがアップルにはそれがない。つまり、直接的なライセンス料をガツンと回収するしかないのである。この意味でも相当なライセンス料になることが推察される。個人的にはサムソンはアップルからも相当なライセンス料を取られることがもはや避けられない状況と推察する。



ダメージを受けたサムソンはどこへ向かうのか。私はAndroidを捨てると思う。



一つ目の兆候は代替OS探しである。サムソンの大金の持ち出しは避けがたい状況だ。Androidを使う限り、サムソンは血を流し続けなければいけない。そのため、サムソンはOSの変更を本格的に画策し始めた。一つはサムソン独自のOS Badaであり、もう一つはMeeGoの後継であるTizanである。グーグルが手当たりしだいに特許を買いあさっているのと同じように、サムソンはひたすらOSをあさっている。



そして、もう一つはサムソンのAndroid陣営での位置づけである。HTCはグーグルから特許の譲渡を受け、アップルと戦っている。サムソンにはそれがない。グーグルのサムソンの扱いはHTCより良くはないのではないか。またモトローラがグーグルに買収されたことにより、サムソンはNexusも奪われる。(機種は残るかもしれないが、役割は終わった。)確実にグーグルにとっての第一位ではななくなるのだ。



もはやサムソンにとって、この針の筵の上に長期に座り続けることはできない。ここから1年、2年のうちにサムソンはAndroid陣営から離れていくのではないだろうか。